2026年8月27日、「次世代コンタクトセンターが創る金融CXの未来」をテーマとしたイベントを、JA共済ビル カンファレンスホールにて開催いたしました。
本イベントは、銀行・保険・証券・カード会社などの金融機関における経営者・管理者層、経営企画・システム企画・営業企画、IT・デジタル部門、コンタクトセンター関連部門の責任者・実務担当者の方々にご参加いただきました。
顧客ニーズの多様化や顧客接点のマルチチャネル化が進む中、金融機関には、CX向上だけでなく、それを支える従業員体験(EX)の向上や、顧客接点・データの一元化、生成AIをはじめとする最新技術の活用が求められています。さらに、変化し続ける環境に対応するためには、システムや運用を固定的なものとして捉えるのではなく、継続的に再設計・改善できる仕組みづくりが重要なテーマとなっています。
AIによる顧客対応の高度化から、CXを支えるEXやナレッジ活用、顧客接点・データの一元化、さらには継続的に進化できるコンタクトセンターの再設計まで、金融機関がこれからの顧客接点を考えるうえで押さえておきたい論点が凝縮されたイベントとなりました。
本レポートでは、各セッションで語られたポイントをご紹介します。
デジタル×EXが実現する、第一生命の“永続的CX向上”
第一生命保険株式会社
コンタクトセンター統括部 コンタクトセンター企画課
藤河 勝也 氏
第一生命保険株式会社の藤河勝也氏が登壇し、AIなどのデジタル活用と従業員体験(EX)の向上を掛け合わせることで実現する、コンタクトセンターにおける“永続的なCX向上”の取り組みについて解説されました。
第一生命では、AIを導入するだけではCX向上にはつながらず、その土台となるEXの向上が重要との考えのもと、現場を巻き込んだコンタクトセンターシステムの刷新を推進されました。実務を担うセンターメンバーがプロジェクトに参画し、ソフトフォンの画面設計やウォールボード、トレーニングブースなどに現場の声を反映することで、エンゲージメント向上にもつなげた取り組みが紹介されました。
また、感謝を言葉にして組織内で循環させる「ありがとうPost」をはじめ、EXを高める文化づくりの実践も紹介されました。さらに、AIによって後処理業務を減らし、人がよりお客様との対話や寄り添いに注力するなど、AIと人が役割を分担する次世代コンタクトセンターの方向性が語られました。
\このセッションの動画をFinlinkにて公開中です/
ご覧いただくことで、以下の内容をさらに深く学べます。
・現場を巻き込んだコンタクトセンターシステム刷新の進め方
・「ありがとうPost」を通じたEX向上と組織文化づくり
・AIと人の役割分担による次世代コンタクトセンターの構想
動画視聴はこちら➤https://finlink.tech/blog/67.html
金融CXの新時代を切り拓くエージェンティックAI戦略
ジェネシスクラウドサービス株式会社
EaaS第2営業本部 アカウントダイレクター
小野 和久 氏
ジェネシスクラウドサービス株式会社の小野和久氏が登壇し、生成AIの活用が「回答」から「考え、行動し、解決する」段階へ進む中、エージェンティックAIによって金融機関のコンタクトセンターがどのように変わっていくのかが解説されました。
金融CXでは、顧客にとっての便利な体験や業務効率だけでなく、本人確認、不正防止、規制対応といった「信頼」も同時に成立させる必要があるとされ、顧客接点・AI・人・業務・システムを横断して変革する重要性が語られました。
さらに、質問への回答にとどまらず、顧客の目的を理解し、状況を判断して必要な処理まで進めるエージェンティックAIと、エージェンティック・バーチャル・エージェント(AVA)の考え方が紹介されました。一方ですべてをAIに任せるのではなく、権限や条件を細かく設計し、人とAIを適材適所で組み合わせることの重要性も示されました。
\このセッションの動画をFinlinkにてご覧いただけます/
以下の内容をさらに深く学べます。
・金融CXにエージェンティックAIが求められる背景
・AVAによるAIオペレーターの設計・活用イメージ
・AIに任せる業務と人が担う業務の考え方
※動画は10月21日(水)公開予定です
AI活用で変わり続けられるコンタクトセンター再設計アプローチ
アバナード株式会社
Client Solutions Development, Manager
落合 博基 氏
アバナード株式会社の落合博基氏が登壇し、AIの進化や顧客接点の多様化が続く中、金融機関のコンタクトセンターを“変わり続けられる仕組み”へ再設計するためのアプローチについて解説されました。
金融CXでは、利便性に加えて信頼・安心・説明責任・法令/規制対応が求められる一方、顧客期待の高まりと担い手不足のギャップが広がっているとの認識が示されました。そこで、AIによって一次対応や記録、ナレッジ活用を支援し、人は高度な判断や個別相談、説明義務に集中するという役割分担が語られました。
さらに、AI技術や規制、商品が変化するたびに人とAIの最適な役割も変わるため、業務と基盤を継続的に再設計できることが重要とされました。PoCから小さく始め、ナレッジやデータを蓄積しながら段階的に拡張していく考え方と、次世代コンタクトセンターの方向性が紹介されました。
\このセッションの動画をFinlinkにて公開中です/
ご覧いただくことで、以下の内容をさらに深く学べます。
・金融CXを維持・向上するためのAIと人の役割分担
・「変わり続けられる」コンタクトセンター基盤の考え方
・PoCから段階的に拡張する再設計アプローチ
動画視聴はこちら➤https://finlink.tech/blog/69.html
対応力を、資産に変える〜AIとナレッジで築く次世代コンタクトセンター〜
株式会社RightTouch
代表取締役
野村 修平 氏
株式会社RightTouchの野村修平氏が登壇し、AIオペレーターの活用が広がる中、その対応品質を左右する「ナレッジ」をどのように整備・運用し、コンタクトセンターの対応力を組織の資産へ変えていくのかが解説されました。
講演では、AIオペレーターの本格展開に向けて、プロンプト調整だけに依存した運用の難しさや、チャネルごとにFAQやナレッジが分断・多重管理される課題が示され、AIを機能させるうえで学習データとなるナレッジの重要性が語られました。
さらに、VOCから不足するナレッジを生成・改善し、AIオペレーターや有人オペレーター、FAQへ連携する考え方が紹介されました。プロンプトチューニングに依存するのではなく、ナレッジを継続的に拡充し、顧客対応の改善につなげる次世代コンタクトセンター像が語られました。
\このセッションの動画をFinlinkにて公開中です/
ご覧いただくことで、以下の内容をさらに深く学べます。
・AIオペレーターの本格展開でナレッジが重要になる理由
・分断・多重管理されたナレッジ運用を見直す考え方
・VOCを起点にナレッジを生成・改善する仕組み
動画視聴はこちら➤https://finlink.tech/blog/70.html
AI時代のコンタクトセンター改革 ― 北國銀行の実践
~顧客接点の集約・データ化からCX・EX・事業成長へ~
株式会社北國銀行
カスタマーサービス部長
菖蒲田 忠博 氏
株式会社北國銀行の菖蒲田忠博氏が登壇し、AI時代を見据え、顧客接点を集約・データ化しながらCX・EX、さらには事業成長へとつなげるコンタクトセンター改革について解説されました。北國銀行では、2001年のコンタクトセンター開設以来、「お客様起点」を軸に改革を積み重ね、その取り組みが結果としてAI活用の土台になったことが語られました。
講演では、「集める・つなぐ・応える・活かす」という4つの循環を軸に、全営業店の電話や各種窓口、FAQ・チャットボットなどの顧客接点をつなぎ、応対通話のテキスト化やWeb行動、お客さまの声を改善に生かしてきた取り組みが紹介されました。
また、AIを単なるコスト削減の手段ではなく、より多くのお客さまへ価値を届けるための技術と位置づけ、AIが対応の「幅」を広げ、人が対話や判断の「深さ」を担う考え方が示されました。顧客接点のデータを循環させ、CX・EX・事業成長をつなぐことこそが、AI時代のコンタクトセンター改革であると語られました。
\このセッションの動画をFinlinkにて公開中です/
ご覧いただくことで、以下の内容をさらに深く学べます。
・顧客接点を集約し、データとして循環させる仕組み
・FAQ・Web行動・応対データを活用したCX改善
・コンタクトセンターを事業成長の起点へ変えるアプローチ
動画視聴はこちら➤https://finlink.tech/blog/68.html
ジェネシスクラウドサービス株式会社によるブース展示
会場内では、ジェネシスクラウドサービス株式会社によるブース展示が実施されました。
ブースでは、生成AIとエージェンティックAIを活用するクラウド型CXプラットフォーム「Genesys Cloud AI」を紹介。
エージェンティック・バーチャル・エージェント(AVA)による自律型顧客対応や、AI Copilotによるオペレーター支援について、金融業界でのAI活用の最新事例やデモを交えながら、次世代コンタクトセンターの実現に向けた取り組みが紹介されました。
会場では、株式会社Helpfeelがブースを出展し、金融機関の顧客対応におけるAI活用と業務自動化に向けた取り組みを紹介しました。FAQやマニュアル、応対ログなどの情報をAIが活用しやすい形に整える「AI-Ready」なナレッジ整備を起点に、顧客の自己解決支援、オペレーターの応対支援、ボイスボット・AIオペレーターによる電話応対の自動化など、幅広いソリューションを紹介。
さらに、問い合わせ内容の分析を通じてナレッジの不足や改善点を可視化し、継続的な改善につなげる仕組みも紹介しました。これらの取り組みを通じて、問い合わせへの回答から手続き完了までをAIが担う「オートパイロットコールセンター」の実現を目指す構想を示しました。
イベントの最後には交流会が実施され、講演企業と参加者による活発な情報交換や名刺交換が行われました。講演内容を踏まえた具体的な意見交換に加え、参加者同士でも各社の取り組みや課題感について情報を共有する姿が見られ、会場では多くの交流が生まれました。
各講演を通じて、AIやデータ、ナレッジを活用しながら、金融機関のコンタクトセンターをどのように進化させ、CX・EXの向上や事業成長へつなげていくかについて、多角的な視点から考える機会となりました。今後の顧客接点やコンタクトセンター改革を検討するうえで、多くの示唆を得られるイベントとなりました。
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